都内も抱える人材不足

特に地方の人が東京の病院に転職しようと思った場合、働く場所がとても多いことに驚くのではないでしょうか。昼間の人口が1,500万人を超えるとされる東京においては、一般の病院だけでなく特定機能病院の数も全国的にみればかなり充実しています。
そのほかにも、医療機関以外で看護師を必要としているところ、企業の保健室や保育施設、介護施設などもたくさんあります。
一見すると東京の医療は充実しているように思うかもしれませんが、人口あたりの病院の数や病床数を見てみると、実は全国平均を下回るほどに不足しています。
さらに言えば、医療機関が多いのは多摩地区と23区の東部を含む都内の中心部だけ。そこを外れるとむしろ医療的には他の道府県と比較すると後進地域と言わざるを得ません。
23区内でも中核となる医療機関を持たない墨田区、江東区、江戸川区は、域内で治療を受けることができない場合は中心部へ出向くことになります。交通網が整っているこの地域ではそれは可能なことかもしれませんが、患者の立場から言えば、やはり地元に便りになる医療機関がないというのは心細いものです。
看護師に目を向けてみましょう。東京都内の看護師は離職率が15.9%とかなり高い数字をあげています。つまり、看護師の転職や離職は日常茶飯事となっています。
これはキャリア的なステップアップを望むという面もあるのでしょうが、一般の利用者からすれば人材が流動的な医療機関ではなかなか安心して治療を受ける気持ちにはなれないものです。
そこで東京都では、養成、定着、再就業の3つを柱として看護師の確保のために対策を行なっています。
特に、看護師資格を有していながら就業していない潜在看護師の就業・再就業に力を入れています。というのも、ある統計によれば東京には潜在看護師が5万人以上存在すると言われており、こうした人材のサルベージは看護師不足に対する対策として最も有効とされています。
潜在看護師の再就業に向けた教育・研修体制を充実させることや育児支援を軸に行われている東京都の取り組みは、看護師不足に悩む他の道府県にも注目されています。
東京都ではナースプラザを設置して就職相談や就業協力員による職場のマッチング、現在離職している潜在看護師に対する情報提供を盛んに行なっています。
それと並行して復職への講習会を開くなど、経験豊かな潜在看護師の再就業への取り組みに力を入れています。